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奈良市では、全庁を挙げてDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しており、市民サービスの向上と業務効率化に向けた取り組みを加速させています。
その進捗を「DXダッシュボード」として可視化し、庁内に広く公開・共有しています。今回は、このダッシュボードを通じて、奈良市のDXの取り組み状況を紹介します。
法令等で対面が必要な一部を除き、令和6年度末時点で行政手続の84.8%(918件/1083件)をオンライン化。令和7年度内の全手続対応完了を目指し、利便性向上を推進しています。
住民記録・健康管理などの主要業務システムの標準化進捗率は73.6%(中核市平均62.9%)。主要分野で先行し、全国でも高水準の対応が進んでいます。
10年前から民間出身の専門人材を登用。CIO(最高情報統括責任者)やDX推進専門職など、大手民間企業出身者・エンジニアなど多様なキャリアの人材が活躍。各課の「DX推進リーダー」と連携し、全庁で課題解決を進めています。
RPA、AI-OCR等が浸透し、業務効率化が進行。今年度は「AI活用推進課」を新設し、生成AIによる抜本的な改革に取り組んでいます。
全国の自治体において、DXを推進することで、市民サービスの維持や向上、将来的な人口減少に伴う職員減少を見据えた業務効率化は喫緊の課題です。本市においては、令和4年度よりデジタル推進室、令和5年度よりDX推進課を設置し、本格的な取組を始めて4年目となりましたが、取組を通じて、自らの推進状況が把握できることが重要です。そのため、ダッシュボードを作成し、定期的に庁内公開し、見える化を図ってきました。
(注)なお、本ダッシュボードは、規模感の把握や前年比較等を重視しており、数値の厳密な正確性よりも、スピード感と増加減少の相対比較に重点を置いており、一部概算やみなし数値の活用もしております。予めご了承ください。
ダッシュボードの中から本市の取組をピックアップしてご紹介します。(タイトルの後ろの数字は、ダッシュボード中の番号を示しています。)
コロナ禍で感染症対策として非対面・非接触のニーズが急速に高まり、行政手続においてもオンライン化の必要性が喫緊の課題となりました。デジタル技術の活用は、窓口の混雑緩和、職員の負担軽減、そして住民の利便性向上にも繋がります。本市では、行財政改革計画にもこの課題を取り上げ、オンライン化を図ってきました。オンラインで申請できる手続は、令和5年度当初259だったところ、令和6年度末には918に達し、令和7年度中に、法的にオンライン化不可のものなどを除く1083の全手続のオンライン化を目指して推進しています。
自治体システム標準化は、各自治体が個別にシステムを構築・運用する非効率を解消し、持続可能で質の高い行政サービス提供を実現するために、国が主導して推進している施策です。本市でも取組を推進しており、他の中核市の進捗状況を確認しながら進めています。進捗率としては、令和6年度末において、奈良市は73.6%と、中核市平均の62.9%を上回っています(総務省HPにて公開中)。本市では、令和7年1月に住民記録システム、同年2月に健康管理システムを標準化システムに移行しました。残りのシステムも順次移行作業を推進しています。
さまざまなシーンでのキャッシュレス化も推進しています。窓口における各種証明書手数料等の支払(4)や、オンライン申請時にクレジットカード等で行う支払(9)です。窓口の支払では、市民課などの7課の窓口において、6種類のコード決済(○○ペイなど)や5種類のクレジットカード、11種類の電子マネー(交通系ICカード含む)に対応し、支払ができる手数料等は、住民票の写しの交付手数料等、105種類にも上っています。
市役所本庁舎1階にAI&リモート総合案内(タッチパネル式デジタルサイネージ(ディスプレイ)を用いて庁舎内の行先案内や簡単なお問合せに対応)を設置しています。令和7年3月時点で1,455個のFAQを搭載し、月間平均600件程度の問合せを受け付け、年度末の繁忙期(転入転出など)には多くの市民にご利用いただきました(3月度は1,143件)。気兼ねなくいつでもサービスが提供できるようにするための第一歩として取り組んでいます。
今後の市役所業務は、将来的な人口減少に伴う職員数減少が避けられず、少数で多くの業務を行う必要があります。しかし業務が特定の職員に依存していれば難しくなります。そこで、業務マニュアルを簡単に同じフォーマットで作成できるマニュアル共有ツール(10)や、庁内FAQシステム(12)を導入し、属人化の解消に向けて取組を進めています。
作成したマニュアルは、令和6年4月時点で53個でしたが、令和7年3月には329個に、庁内FAQは令和6年5月時点で30個、令和7年3月には1,066個に増えています。(グラフは利用数)
業務効率化に向けてさまざまなDXツールを導入しています。パソコンを使った手作業をロボットが自動的に行うRPA(ロボティックプロセスオートメーション)、手書き等の紙の申請書等からデータに変換するAI-OCR、会議録等の録音データから文字起こしを自動で行う音声テキスト化ツールについて、利用が進んでいます。
昨今、特に生成AIは急速に発展しています。市役所業務においても、その効果的な活用がさまざまなサービスを生み出す可能性を秘めています。
ダッシュボードにおいても、AI&リモート総合案内(7)やAI-OCR(18)にあるように活用の幅を広げていますが、今年度はより一層の活用推進を目指し、総務部にAI活用推進課を設置しました。今後の本市のAI活用にご注目ください。
国全体において、人口の減少がさまざまな方面でさまざまな影響をもたらしています。市役所業務においてもその影響により、サービスや業務の担い手である職員の減少は避けて通れません。
しかしながら、そういった世の中においても心の豊かさや便利さを感じられる社会を、デジタルやAIの活用を通じて目指していきます。
単に、人口減少をネガティブにとらえることなく、これまでの社会を維持可能に、さらなる高レベルのサービス提供を目指して、コンパクトではあるけどもインパクトのある自治体経営に取り組んでいきます。
【リリース資料】DXにより利便性向上・業務効率化をさらに推進 [PDFファイル/2.19MB]
奈良市 DX推進課
TEL:0742-34-4722
奈良市 AI活用推進課
TEL:0742-93-3425