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昭和30年代から半世紀にわたり本市喫緊の課題であった新斎苑整備事業が完了し、令和4年4月に「奈良市斎苑 旅立ちの杜」として供用開始してから3年が経過。この間、16,000人を超える方々の最期のお別れの場としてご利用いただきました。これまでの利用状況について報告します。
人体火葬のほとんど(約98%)を占める大人火葬では、市内利用者数が令和3年度(従前施設)2,298件から、令和6年度4,337件と約2倍に増加。
また、奈良市民(※)でありながら市外施設を利用した方は、令和3年度には1,746件でしたが、令和6年度には168件と大幅減少。従前施設では一日最大8件だった火葬数が、新斎苑では22件まで対応可能とし、市内での火葬を希望するすべての奈良市民が、確実にご利用いただける環境が整いました。なお、令和6年度においては、市内の死亡者の約95%にあたる4,337人がご利用になり、ほとんどの市民の方にご利用いただけました。
(※)奈良市に住民登録があり、死亡届が奈良市に提出された件数
(奈良市に住民登録があり、死亡届を奈良市外の自治体に提出された方等、実質的に市外在住していたと思われる方は除外しています。)
市外からの利用者数は、令和3年度(従前施設)80件から、令和6年度1,107件と約14倍に増加しました。また、市外からの利用者の使用料を5万円から10万円に変更したこともあり、市外利用者による使用料収入は、令和3年度432万円から、令和6年度1億2041万円と約28倍に増加しました。収支は大きく改善しています。
(参考)利用者数の推移について
(※)利用率は、その年度に火葬した総数のうち市民が他市施設を利用した率を指します。
他市施設利用者数/(市内利用者数+他市施設利用者数)×100
令和4年度以降、順調に増収となっており、令和3年度(従前施設)と令和6年度(新斎苑)の比較では、約1億5000万円の収入増となっています。一方で、支出は令和4年度では一時的に増加しましたが、令和5年度以降は着実に減少しています。
市外施設利用による超過負担額の比較(推計)
令和4年度以降、市民の市外施設利用者は大幅に減少し、市民の負担が大きく減少しています。
これらの結果から、市民の経済的利益(使用料収入の増加+市外施設利用による超過負担額の減少)
を、以下のように計算しています。
火葬件数は着実に増加しており、令和6年度の火葬炉稼働率は69%。稼働率は年間を通して一定でなく、4~10月(通常期、214日間)は62%とそれほど高くない一方で、11~3月(冬季、148日間)は平均82%と高く、1日の火葬上限の22件に達する日もありました。
令和7年度では、こうした冬季の火葬集中を緩和する方策として、火葬枠の拡大(1炉あたり1日2回運用から3回運用へ)を検討します。これにより、冬季の混雑緩和に加え、市外在住者の利用拡大による使用料収入の増加にもつながると考えます。
362日の可動日全て3回運用に変更するのではなく、週3回の実施など、効率的な運用を行います。
奈良市斎苑「旅立ちの杜」は、誰もが利用する火葬場が「暗い」「こわい」といった負のイメージの施設ではなく、「明るく」「安心できる」施設であるべきであるとの思いから、「周辺の環境と一体化した『森の中の美術館』」をコンセプトとして整備を進めてきました。待合室を一面のガラス張りとして、そこから高円山や遠くに奈良市街が見える眺望は他の施設にはない、明るく開放的な空間を実現しています。
また、2つある施設エントランスには、フランス・ベルサイユ市在住の画家・大石良太氏から寄贈された絵画、「奈良風景『古都遠望』」、「ベルサイユ春夏秋冬」を展示し、参列された皆様をアートの温もりに包まれた空間でお迎えしています。
また、より多くの方々に「旅立ちの杜」を知っていただくため、施設見学会やクラシックコンサートも開催。演奏には「100万人のクラシックライブ」から、プロのピアノ・ヴァイオリン奏者をお迎えし、音楽とともに心癒されるひとときを提供しています。
▲大石良太氏より寄贈を受けた絵画の除幕式
▲青垣エリアに飾られた絵画「ベルサイユ春夏秋冬」
▲大和エリアに飾られた絵画「奈良風景『古都遠望』」
▲施設見学会&クラシックコンサートを開催(100万人のクラシックライブ)
これまでに4回開催し、300名以上が参加。音楽とともに心癒される企画を実施。
(参考)使用料収入の推移
【リリース資料】供用開始から3年「奈良市斎苑 旅立ちの杜」利用状況 [PDFファイル/1.67MB]
奈良市 市民部 斎苑管理課
TEL:0742-34-5161