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奈良しみんだより令和8年9月号(テキスト版)2-5ページ 特集:

ページID:0273614 更新日:2026年9月1日更新 印刷ページ表示

奈良を、現代アートから見る

古都の歴史に触れ、いま生まれる表現

10年前、日中韓の文化交流「東アジア文化都市2016奈良市」の核として、市内で開催したアートの祭典「古都祝奈良」(こほぐなら)。世界的なアーティストたちが、奈良の歴史的空間に挑み、その「場の力」との共鳴を表現しました。当時の思いを継承し、未来を展望する特別な「時空旅行」が今秋始まります。

古都祝奈良 ことほぐなら NARA 
CULTURE CITY OF EAST ASIA 2016. NARA ART CELEBRATION IN NARA BEYOND TIME AND SPACE

古都祝奈良ー時空を超えたアートの祭典
「寿ぐ」(こほぐ)は祝いの言葉を述べることです。かつて多様多層な人々が交錯し、日本史上最も開かれた都市、古都奈良。その魅力を、芸術によって明らかにし、寿ぐ試みとして、2016年9月3日から51日間にわたり開催しました。世界遺産の社寺等を舞台に、シルクロードゆかりの国から世界的アーティストが集結し、アート表現や平城宮跡での大掛かりな野外演劇を通して、1300年の歴史と東アジアのつながりを鮮やかに浮かび上がらせました。

サハンド・ヘサミヤン「開花」…シルクロードを巡り伝播した蓮をモチーフに、多様な文化の融合を興福寺の景観に重ねました。
SPACー静岡県舞台芸術センター「マハーバーラタ〜ナラ王の冒険〜」…平城京の中枢であった平城宮跡を舞台に、アジアの物語を国や言葉を超えた祝祭劇として蘇らせました。
川俣 正「足場の塔」…かつて多国籍な僧が学んだ大安寺で、太古の巨大な塔の幻を建造。

東アジア文化都市
2014年から続く文化庁の国家プロジェクト。日本・中国・韓国の3か国が連携し、文化芸術に関するさまざまなプログラムを実施。2016年の開催地に奈良市・寧波市(中国)・済州特別自治道(韓国)が選ばれ、奈良市のコア期間には「古都祝奈良 時空を超えたアートの祭典」を開催しました。

船を作る過程も作品
当時、東大寺の鏡池に浮かべた全長13mの木造船。アーティスト蔡國強(さいこっきょう)さんが中国の船大工とともに作ったこの作品は、1300年の時を超え、海を介して影響し合ってきた東アジアの交流の象徴です。「私たちは共にひとつの船に乗って、もう一度この水域を帆走できるだろうか?」。蔡さんが投げかけた問いは、政治や環境の壁を越え、文化でつながる大切さを、今も私たちに問いかけています。

なぜ奈良で現代アートなのか

1300年という時間軸でさまざまな歴史が深く刻まれている奈良。だからこそ、アーティストが文化や文明の断層を発掘しつつ、私たちの生きる世界を映しこんだ作品が生まれる可能性に満ちています。現代アートを通じて歴史を感じる営みは、今を見つめ直し、地域とともにこれからの新たな価値を創り出すプロセスです。私たちはこの取り組みに10年間携わってきました。また、かつて多様な文化を受け入れてきた歴史を持つ奈良から、社会の分断が顕著な現代に向けて文化受容の精神を発信することには大きな意義があります。文化交流を祝福する「古都祝奈良」を通じて、言葉や立場の違いを超えて対話と感動を重ねること。それは、ともに平和な未来を目指す一歩となりえるでしょう。

10年の時を超えて、再び響き合う「時空旅行」へ

 

奈良の「時空旅行」へ出かけよう!

今秋、東アジア文化都市10周年を記念して、「古都祝奈良の時空旅行」を開催します。
開催期間…11月7日(土曜日)〜29日(日曜日)
コア期間…11月21日(土曜日)〜23日(祝日) ※全ての作品が楽しめます

古都祝奈良ホームページ…https://kotohogunara.jp

タイムマシンになる 奈良のまち

奈良は、さまざまな時代の面影が日常に残る「時間が重なり合う都市」です。この秋開催する「古都祝奈良の時空旅行」は、そんな特別な空間を歩いて巡る都市型アートプロジェクト。市民や来訪者はそれぞれの時代性が色濃く残る歴史ある場所を巡り、美術展示・演劇・市民活動との出会いを通して、奈良の時間を「移動する」体験をお届けします。

未来  写真を撮る積層の先に見えるもの

顧 剣亨さんの代名詞は、自身が考案したデジタル・ウィービング(デジタル織物)というこれまでにない手法です。街の風景写真を切り貼りし、「布を織る」ように再構成。どこにもピントが合っていないような、不思議な奥行きの写真空間を生み出します。今展では、鎌倉時代の病の救済、保護施設であった北山十八間戸で、奈良の街の写真や地図、絵図を扱った作品を制作予定。かつては救いの場であった空間で、過去と現在の時間が幾重にも重なり合い、未来への思いをはせる、この会場ならではの体験が待っています。

近来 コミュニケーションのズレを面白がる

《看板屋なかざき》は中崎透さんの代表作のシリーズ作品。中崎さんが受注者となり看板を作成する、という契約から作品制作が始まります。発注内容のとおりに作成することが本来の進め方ですが、発注者・受注者の関係性をくずし、作家が発注内容をズラしたデザインで仕上げます。思いどおりにならない歯がゆさを楽しむことが、この作品の魅力です。この秋、中崎さんが奈良のまちでさまざまな活動をしている人と向き合い、新たな作品を生み出します。どこか懐かしい魅力あふれる椿井市場に《看板屋なかざき》の作品が立ち現れた空間をお楽しみください。

古来  包む、解く、つながりからみえる奈良

現在国際的にもっとも活躍されている現代美術家の一人、韓国出身のキムスージャさん。彼女の代表作のひとつに韓国の行商用の風呂敷包み、「ボッタリ」を使った作品があります。布に荷物を包む。日本でいえば「風呂敷」を背負った旅でしょうか。日常の営みを通して生きること、その移動の蓄積で文化は伝播されていきます。今回は東大寺の観音院を舞台に「奈良晒」等、素材や展示方法を検討しています。シルクロードの終着点でもあった奈良の地から1300年以上の時間を現代までつなぎ、人々の営みを表現する作品に、期待が高まります。

まだまだ楽しめる時空旅行

開催期間中は、近鉄奈良駅前行基広場が時空旅行の出発地点に。劇団やパフォーマーが来場者を迎える「まちなか舞台」等のプログラムも展開します。一人でじっくり、あるいは誰かを誘って語り合いながら。過去から未来へつながる奈良の時間を感じ、歴史の上に重なる新しい風景を体感しませんか。

アートで巡る、奈良の古来・近来・未来
アーティストと同じ目線で歴史に触れ、まちを見る、新しい文化体験を。

●未来
雇 剣亭 コ ケンリョウ(中国)×北山十八間戸 きたやまじゅうはちけんこ
会場…北山十八間戸
●近来 
中崎透(日本)×椿井市場
会場…椿井市場
●古来
キム スージャ(韓国)×東大寺観音院
会場…東大寺観音院
キムスージャさん特別インタビュー…10年ぶりの奈良で、いま創る理由…https://kotohogunara.jp/infomation/7060

*中崎透さん(お名前に外字が含まれているため、実際の漢字とは異なります)

「古都奈良の時空旅行」サポーター募集

アートのそばで過ごし、訪れる人と想いを共有する時間は、感性を揺さぶる体験になるはずです。アートとまち、そして人を結ぶ、あなたにしかできない「おもてなし」をしてみませんか。
とき…11月7日(土曜日)〜29日(日曜日)
午前枠…午前9時半〜午後1時半
午後枠…午後1時半〜5時半
謝礼…1枠3,000円
対象…事務局等との円滑な調整、地域の環境等を尊重できる人
申込…古都祝奈良ホームページの応募詳細を熟読し、10月15日までに申込。多い場合は書類選考。申込はこちら…https://kotohogunara.jp

問合せ…市アートプロジェクト実行委員会事務局(文化振興課内 電話番号:0742ー34ー4942)

 


奈良しみんだより巻頭特集(Web版)